
お役立ち情報
2025.09.01
基礎知識
ポジティブリスト制度の対象器具は?食品工場の器具・ブラシ選定のポイントを専門メーカーが解説!
ポジティブリスト制度とは?従来のネガティブリスト制度との違いとは?
2020年6月1日に施行された改正食品衛生法により、食品用の器具および容器包装の安全性を確保するため、「ポジティブリスト(PL)制度」が導入されました。これは、食品に接触する合成樹脂などの材質に関し、国が安全性を評価して許可した物質のリスト(ポジティブリスト)に収載されたもの以外は、原則として使用を禁止する制度です。この目的は、未知の化学物質が食品へ移行するリスクを未然に防ぎ、より高いレベルの消費者保護を実現することにあります。
この制度は、従来採用されていた「ネガティブリスト制度」とは根本的に異なります。ネガティブリスト制度が「使用を禁止する有害物質」を限定的にリストアップし、それ以外は使用可能としていたのに対し、ポジティブリスト制度は「使用を許可する安全な物質」をリスト化する、より厳格で予防的なアプローチです。国際的な標準となっているこの方式へ移行することで、食品安全管理のグローバル化に対応する狙いもあります。
この新制度は5年間の経過措置期間を経て、2025年6月1日から完全施行となります。そのため、食品工場の管理者様は、自社で使用する全ての関連資材がこの制度に適合しているか、速やかに確認し対応することが求められます。
ポジティブリスト制度の対象となる器具とは?
ポジティブリスト制度は、食品に接触する合成樹脂(プラスチック)を主な対象としています。具体的には、食品用トレイ、ペットボトル、ラップフィルム、まな板、ヘラ、コンベアベルトなど、製造から消費までの過程で食品に触れる合成樹脂製の器具・容器包装が規制範囲に含まれます。これらの製品は、その樹脂を構成する「基ポリマー」と「添加剤」の両方が、国が許可したリストに収載された物質でなければなりません。なお、ガラス、金属、ゴム等の材質は、この合成樹脂を対象とした制度の直接的な範囲外ですが、別途、食品衛生法全体の安全基準を満たす必要があります。
ブラシなど清掃用具の取り扱い
食品工場で不可欠な清掃用ブラシの扱いは、特に注意が必要です。ソースを塗るペストリーブラシのように、意図的に食品へ接触させるブラシは「器具」と見なされ、明確に制度の対象となります。一方、調理器具や機械の洗浄用ブラシは、直接食品に触れる目的ではないため、法的な対象範囲としては断定できません。しかし、洗浄中に摩耗した毛が製造ラインに混入すれば、重大な異物混入事故に繋がります。これはHACCPにおける危害要因(ハザード)そのものです。そのため、企業の自主的な衛生管理基準として、また現実的なリスク管理の観点から、洗浄用のブラシにもポジティブリスト適合品を選定することが推奨されます。
なぜ食品工場はポジティブリスト適合の器具を選ぶべきなのか?
ポジティブリスト制度への対応は、単なる法規制の遵守に留まらず、企業の持続的な成長と信頼性確保に直結する重要な経営課題です。たとえ一部の洗浄用具のように直接的な法的義務が明確でない場合でも、適合品を積極的に選定・導入することには、以下に挙げる3つの明確なメリットが存在します。
理由1:法令遵守によるリスク低減と企業の信頼性向上
2025年6月以降、ポジティブリスト制度に適合しない器具・容器包装の販売・使用は原則として禁止されます。適合品を導入することは、行政指導や罰則といった法的なリスクを回避する上で不可欠です。さらに、この法令を遵守する姿勢は、自社の食品安全に対する高い意識を取引先や消費者に示すことになり、企業全体の信頼性向上に大きく貢献します。
理由2:HACCP制度との連携による衛生管理レベルの強化
HACCPによる衛生管理において、使用する器具の安全性は、危害要因を管理する上での大前提(一般衛生管理プログラム)となります。ポジティブリスト適合品を使用することで、原材料に由来しない化学的ハザードのリスクを根本から低減できます。これにより、HACCPシステムの土台がより強固なものとなり、工場全体の衛生管理レベルを効果的に引き上げることが可能です。
理由3:製品回収リスクの回避と経済的損失の防止
万が一、使用器具が原因で製品に有害物質が移行した場合、最悪のケースでは大規模な製品回収に発展します。製品回収は、多大な経済的損失はもちろんのこと、長年かけて築き上げてきたブランドイメージや社会的信用を一瞬で失墜させかねません。適合品への切り替えは、こうした壊滅的なリスクを未然に防ぐための、極めて重要な投資と言えるのです。
失敗しないポジティブリスト適合洗浄具の選定ポイント
ポジティブリスト制度への適合は、今やブラシを選定する上での最低条件です。しかし、「適合」という言葉だけで製品を選んでしまうと、現場での思わぬトラブルに繋がりかねません。ここでは、多くの食品工場を見てきた専門メーカーの視点から、真に安全で生産性の向上に貢献するブラシを選び抜くための、3つの重要なポイントを解説します。
ポイント1:適合証明書の発行体制
「ポジティブリスト適合」を謳う製品であっても、その証明がなければ監査に対応できません。信頼できるメーカーは、製品が法規制に適合していることを示す「適合証明書」を速やかに発行できる体制を整えています。これらの書類を迅速かつ正確に提供できるサポート体制があるかどうかが、メーカーの信頼性を測る第一の指標となります。
ポイント2:「抜けない・欠けない」異物混入対策の品質
ポジティブリストは化学的な安全性を担保しますが、物理的な安全性、すなわち異物混入リスクは別の問題です。洗浄中にブラシの毛が抜けたり、ヘッドが欠けたりすれば、それ自体が重大な異物混入事故を引き起こします。材質が安全でも、製品としての品質が低ければ意味がありません。毛の植え込み技術や本体の耐久性など、「抜けない」「欠けない」という物理的な強度・品質が徹底的に作り込まれているかを確認することが不可欠です。
ポイント3:現場の作業者が安全で使いやすい製品設計
最後のポイントは、実際にブラシを使用する作業者への配慮です。海外製の大きなブラシは、日本人、特に工場で多数を占める女性作業者にとっては扱いにくく、洗浄品質の低下や過度な身体的負担を招くことがあります。軽量であること、グリップが握りやすいこと、そして清掃場所に適したコンパクトなサイズであることなど、現場の作業者が効率的かつ安全に作業できる設計になっているかどうかも、見逃せない重要な選定基準です。
当社ブラシが選ばれる理由
前述したブラシ選定における3つの重要ポイントに対し、当社は専門メーカーとして、製品の品質からサポート体制に至るまで、お客様の期待を超える具体的な解決策をご用意しています。当社のブラシが、多くの食品工場で選ばれ続けるのには明確な理由があります。
理由1:徹底した異物混入対策と、それを支える日本品質の製造・管理体制
「抜けない・欠けない」という物理的な品質を最高レベルで実現するため、当社は金型の設計から樹脂成形、植毛に至るまで、全ての工程を管理する体制を構築しています。すべて国内の自社工場で制された製品であり、製品の信頼性を根本から担保します。さらに、万が一の混入時にも発見を容易にする「磁性ブラシ」や、他社製品と明確に識別可能な「断面が三角形の独自繊維」を用いたブラシで、異物混入リスクと原因究明に徹底的に貢献します。
理由2:現場の生産性を向上させる、ユーザー中心の製品設計と柔軟な特注対応力
当社は、日本の食品工場で働く女性作業者の身体的負担を軽減することを重視し、「軽量・コンパクト」で扱いやすい製品設計を基本としています。これにより、日々の洗浄作業の効率と品質向上に貢献します。さらに、既製品では対応できない特殊な清掃箇所や洗浄対象物に対しては、お客様の課題をヒアリングし、最適な形状・材質のブラシをゼロから開発する柔軟な「特注対応」も可能です。
理由3:HACCP運用を強力にサポートする、専門メーカーならではの伴走型サポート
当社の洗浄具は、HACCPに対応の洗浄具となっております。また、「ポジティブリスト適合証明書」もご要望に応じてスムーズに提供いたします。私たちは単に製品を販売するだけでなく、お客様の声を製品開発や改善に活かし、現場が抱える衛生管理の課題に共に取り組むパートナーとして、専門的な知見とサポートを提供し続けます。
ブラシラインナップ
HPペストリーブラシ
HACCP対応のハケです。ハケ部分の幅のバリエーションは小(30mm)・中(45mm)・大(60mm)の3種類あり、用途に合わせてお選びいただけます。ボディの厚みは9mmと薄型の設計です。使用毛材は弊社商品の中でもっとも細い0.1mmとなり、非常に柔らかくなっています。細い毛材は尖ったような仕様になるためシロップやバター、卵などを均等に塗布することができます。使用しているPBTの繊維は保水性が非常に高く、加えて水切れもいいため効率的な作業を手助けいたします。天然素材のハケと比較しても塗りムラが少なく、異物混入対策も兼ねられると製菓工場様などよりご満足のお声をいただいています。
HPハンドブラシM

お客様の声をもとに作成したハンドブラシのスタンダード形状です。食品工場向けの業務用に進化させました。ひょうたん型のハンドルは、握りやすさ・作業性の向上・耐久性のバランスに優れています。握りやすいグリップ形状で、残渣が残りにくいブラシです。すべり止め防止用の凹凸と残渣が残りづらい角にカーブをつけています。毛材は、三角柱繊維、硬めで汚れ落ちがが良く、こびりついた汚れなどに最適です。大型のフック穴は、様々なフックに対応し、掛けやすく外しやすい形状です。樹脂素材は、落下による割れ・欠けなどを防止する粘りのあるポリプロピレン(PP)を使用しています。
食品工場のポジティブリスト対策・ブラシ選定のことなら、当社にご相談ください
本記事では、2025年6月から完全施行されるポジティブリスト制度の概要から、対象となる器具、そして食品工場が適合品を選ぶべき理由について解説しました。 制度への対応は、今や食品工場の信頼性を支える上で不可欠な要素です。
しかし、最も重要なのは、単に「ポジティブリスト適合」というだけでなく、「異物混入リスクを徹底して排除できるか」「現場の作業者が効率的に使えるか」「万全なサポート体制があるか」という、より実践的な視点で製品を選定することです。
当社は、これらの課題をすべて解決するパートナーとして、お客様に寄り添います。国内の自社一貫生産だからこそ実現できる「抜けない・欠けない」高い品質、現場の声を反映した使いやすい製品設計、そして既製品では解決できない課題に応える特注対応力と、各種証明書発行などの万全なサポート体制。これらすべてが、私たちが提供する価値です。
ポジティブリスト制度への対応はもちろん、現状の衛生管理や異物混入対策、作業効率について少しでもお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽に当社までお問い合わせください。
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