
お役立ち情報
2025.06.12
基礎知識
ポジティブリスト適合樹脂ブラシの導入メリット
ポジティブリスト適合樹脂とは?
ポジティブリスト適合樹脂とは、2020年6月1日に施行された改正食品衛生法によって定められたポジティブリスト制度に適合する合成樹脂を指します。この制度は、食品に接触する器具や容器包装に使用される合成樹脂について、安全性が確認された物質のみを使用することを義務付けるものです。そして、2025年6月1日に 器具・容器包装ポジティブリストが施工されています。
食品工場において、製品が食品に直接的または間接的に接触する可能性のあるすべての資材は、この制度の対象となり得ます。従来の制度では、安全性が懸念される物質をリストアップし、それらの使用を禁止するネガティブリスト方式が採用されていましたが、ポジティブリスト制度では、使用が認められる物質を明確にリスト化することで、より厳格な管理と安全性の確保を目指しています。
ポジティブリスト制度において、合成樹脂は主に「基ポリマー」と「添加剤」の2つの要素で構成されていると見なされます。基ポリマーは樹脂の骨格を形成する主要な成分であり、添加剤は樹脂に特定の機能(例えば、柔軟性や耐熱性など)を付与するために加えられる物質です。ポジティブリストには、これらの基ポリマーと添加剤のうち、安全性が評価され、使用が認められた物質がそれぞれ収載されています。したがって、ポジティブリスト適合樹脂とは、その基ポリマーおよび使用される添加剤が、すべてポジティブリストに収載されている物質で構成されている樹脂を意味します。
食品工場におけるポジティブリスト制度の概要
食品工場での安全管理は、消費者の健康を守る上で極めて重要です。特に、食品に触れる器具や容器包装の安全性は、最終製品の品質に大きく影響します。このため、2025年6月1日施行 器具・容器包装ポジティブリストが施行され、食品用器具および容器包装に関するポジティブリスト制度が導入されました。この制度は、食品に接触する合成樹脂に用いられる物質について、安全性が評価され、リストに収載されたものだけを使用することを義務付けるものです。
従来の食品衛生法では、有害物質をリストアップし使用を禁止するネガティブリスト方式が採用されていました。しかし、この方式では未確認の新規物質が使用されるリスクがありました。そこで導入されたポジティブリスト制度は、安全性が確認された物質のみを明確にリスト化し、それ以外の物質の使用を原則禁止することで、より厳格な安全管理体制を構築します。これにより、食品接触材料からの意図しない物質の移行を防ぎ、消費者の健康保護をさらに強化することが可能になります。
したがって、食品工場の管理者は、ブラシを含む全ての食品接触材料がこの制度に準拠しているかを確認し、適切な製品を選定・導入する責任があります。これは、単なる法的義務に留まらず、企業の信頼性、ひいては消費者の食の安全を守るための重要な取り組みと言えるでしょう。
ポジティブリスト適合樹脂ブラシ導入による具体的なメリット
食品工場においてポジティブリスト適合樹脂ブラシを導入することは、単なる法規制への対応に留まらず、企業の運営においてメリットをもたらします。
まず、ポジティブリスト制度の適用について、以下の点を理解しておくことが重要です。
・清掃用のブラシ
厳密には、食品に直接触れることを目的としない清掃用ブラシの素材には、直ちにポジティブリストへの適合が義務付けられているわけではありません。
・食品接触のあるブラシ
しかし、食品の製造工程において、食品に頻繁に接触する可能性のあるブラシについては、ポジティブリストに適合した樹脂素材の使用が求められます。これは、ブラシの摩耗や清掃作業中に微量の物質が食品に移行するリスクを考慮し、食品安全を確保するためです。食品工場の管理者は、自社のブラシがどの用途で使用されるかによって、判断する必要があります。
これらの前提を踏まえた上で、ポジティブリスト適合樹脂ブラシを導入することの具体的なメリットは以下の通りです。
法規制遵守によるリスク低減と企業信頼度の向上
改正食品衛生法によって義務化されたポジティブリスト制度に適合したブラシを使用することで、法的なリスクを回避し、行政からの指導や罰則の対象となる可能性を大幅に低減できます。企業はコンプライアンス体制を強化し、食品安全に対する真摯な姿勢を示すことができます。結果として、消費者や取引先からの信頼を獲得し、企業ブランド価値の向上に直結します。
HACCP制度との連携と衛生管理の強化
HACCP(危害分析重要管理点)制度は、食品製造プロセスにおける危害要因を特定し、そのリスクを管理するための国際的な衛生管理手法です。ポジティブリスト適合ブラシの導入は、HACCPにおける「設備・器具の衛生管理」の項目を強化する上で不可欠な要素となります。食品接触材料に安全な樹脂を使用することは、微生物汚染や化学物質汚染のリスクを低減し、HACCPシステムの有効性を高めることにつながります。これにより、工場全体の衛生管理レベルが向上し、より安全な食品供給体制を確立できます。
回収リスクの回避と経済的損失の防止
ポジティブリストに適合しない素材のブラシが原因で食品に有害物質が移行し、製品回収に至った場合、企業は莫大な経済的損失だけでなく、信用失墜という深刻なダメージを負うことになります。ポジティブリスト適合樹脂ブラシを事前に導入することで、このようなリスクを未然に防ぎ、企業の財産とブランドイメージを守ることができます。
洗浄用のブラシには、ポジティブリスト適合樹脂製のブラシは求められてはおりません。しかし、食品に直接触れるようなペストリーブラシなどにはポジティブリスト適合が求められます。洗浄用のブラシにつきましてもポジティブリスト適合ブラシを導入することは企業の信頼感とブランドイメージ向上につながります。
当社のブラシの特徴
食品工場における衛生管理において、改正食品衛生法が求めるポジティブリスト制度への対応は不可欠です。当社が提供する食品工場向けブラシは、この制度への適合を重視し、お客様が安心して食品製造に取り組めるよう、以下の特徴を持っています。
ポジティブリスト適合樹脂の使用
当社のブラシは、食品衛生法のポジティブリストに収載されている安全な樹脂素材を厳選して使用しています。これにより、お客様は法規制に準拠した安全な製造環境を構築し、食品への意図しない物質の移行リスクを最小限に抑えられます。素材選定においては最新の法規制情報を常に確認し、適合性を徹底しています。
証明書や詳細資料の迅速な提供体制
ポジティブリスト適合を証明するためには、使用素材に関する正確な情報が不可欠です。当社では、お客様がポジティブリスト適合に関する証明書や詳細な資料を迅速かつ円滑に入手できる体制を整えています。これは、監査対応や社内での品質管理体制の構築において、非常に重要なサポートとなります。お客様が必要とする情報を速やかに提供することで、書類作成や確認作業の工数を削減し、効率的な法規制対応を可能にします。
ブラシラインナップ
HPペストリーブラシ
HACCP対応のハケです。ハケ部分の幅のバリエーションは小(30mm)・中(45mm)・大(60mm)の3種類あり、用途に合わせてお選びいただけます。ボディの厚みは9mmと薄型の設計です。使用毛材は弊社商品の中でもっとも細い0.1mmとなり、非常に柔らかくなっています。細い毛材は尖ったような仕様になるためシロップやバター、卵などを均等に塗布することができます。使用しているPBTの繊維は保水性が非常に高く、加えて水切れもいいため効率的な作業を手助けいたします。天然素材のハケと比較しても塗りムラが少なく、異物混入対策も兼ねられると製菓工場様などよりご満足のお声をいただいています。
HPハンドブラシM

お客様の声をもとに作成したハンドブラシのスタンダード形状です。食品工場向けの業務用に進化させました。ひょうたん型のハンドルは、握りやすさ・作業性の向上・耐久性のバランスに優れています。握りやすいグリップ形状で、残渣が残りにくいブラシです。すべり止め防止用の凹凸と残渣が残りづらい角にカーブをつけています。毛材は、三角柱繊維、硬めで汚れ落ちがが良く、こびりついた汚れなどに最適です。大型のフック穴は、様々なフックに対応し、掛けやすく外しやすい形状です。樹脂素材は、落下による割れ・欠けなどを防止する粘りのあるポリプロピレン(PP)を使用しています。
CONNECTION 関連情報
-
2025.06.12
ポジティブリスト適合樹脂ブラシの導入メリット
ポジティブリスト適合樹脂とは? ポジティブリスト適合樹脂とは、2020年6月1日に施行された改正食品衛生法によって定められたポジティブリスト制度に適合する合成樹脂を指します。この…
基礎知識
-
2025.04.15
交差汚染と二次汚染の違いとは?対策のポイントも解説!
知っておきたい!交差汚染と二次汚染の基礎 食品工場において、消費者に安全な製品を届けるためには、徹底した衛生管理が不可欠です。本稿では、食品衛生管理においてしばしば同義として扱わ…
基礎知識
-
2025.02.26
金属探知機で、食品工場のブラシ毛の混入対策を行う方法とは?
食品工場における異物混入対策の重要性 食品工場において、異物混入対策は製品の安全性と品質を確保するために不可欠です。食品に異物が混入すると、消費者の健康被害や企業…
基礎知識